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指定管理者制度で文化施設炎上中?

 公立の文化施設は、これから指定管理者制度であちこち火の手が上がりそうな気配だ。今週も、島根県立美術館がこれまで学芸部門は県の直営で管理部門は県の文化振興財団が受託していたものを、管理部門の指定管理者を公募して、なんと民間のサントリーパブリシティサービス(株)が新たに設立する(株)SPS島根に内定したというニュースが飛び込んできた。

 指定管理者制度とは、2003年9月に地方自治法の一部改正で、企業やNPOにも公立の施設の管理をまかせることができるとなったもの。現在は過渡的な時期だけど、すでにいくつかの施設の管理者を巡って自治体の文化振興財団とビルメンテナンス会社や芸術系NPOが熱いバトルを繰り広げている。民間のノウハウで文化施設のサービスが向上し、より柔軟かつ無駄の少ない経営が可能になるかも、というのが制度の売り。競争原理が導入され、公募に集まるさまざまなプロポーザルから新たな経営方法が選択できるのも、メリットとなるかもしれない。

 すでに各地で芸術NPOが奮戦しているが、残念ながらまだ従来運営していた行政の文化振興財団が引き続き指定管理者となるケースのほうが多い。公募とは名ばかりの「出来レース」に見える時もあるので、冒頭に紹介した島根のニュースには驚いた。企業は経営実績という面でNPOより有利だが、現地に子会社まで作ってほんとに採算とれるのだろうか(勝算なくして立候補するとも思えないが)。また、採算の取れる文化施設経営ってどんなのかしらと、ちと不安も頭をよぎる。

 でも一番心配なのは指定管理者となる民間の団体ではなく、行政の側がどんな展望を持っているかということだ。公募するにも、集客・採算重視で観光資源となるような経営を掲げる団体と、創造重視で芸術拠点形成型の経営を掲げる団体とを同じ土俵に乗せても比べようがないので、行政の側があらかじめヴィジョンを提示しないと、せっかくの競争がおかしなことになる。また、規模の大きな自治体には大小合わせてかなりの数の施設があるはずで、それぞれの役割分担や位置づけは指定管理者が考える仕事ではないので、行政のほうで決めてもらわないと大胆な提案はできない。それに、指定管理者が複数の施設をパックで管理することもできるので、域内の施設をどうグルーピングするかも行政側の政策が決めることだろう。うーん、そういうグランド・デザインって日本人が一番不得意な分野だしなぁ。

 西巻さんがTAMで繰り返し言っていたように、文化施設は管理人が一人いればいい駐車場みたいなものじゃなくて、医者や看護士が必要な病院のようなものなのに、この制度が悪いほうに転がると、日本の文化施設はどこもただの貸会場になっちゃいそう。そういえば、フランスでは専門スタッフがいないただの貸館のことを「GARAGE」(ガレージのこと)って呼ぶんだよなぁ・・・

 文化施設の効率的運用の前に、地域の文化政策をいろいろ考える人たちが必要だと思うんだけど、アーツカウンシルみたいなのを作る自治体が出てこないかなぁと悩む今日この頃。

(2005年2月1日)

今後の予定

 2月に次回執筆の榎本さんに会いに、小出郷文化会館へ。

 3月は入試。今年はどんな受験生に会えるのか、楽しみ!

次回執筆者

バトンタッチメッセージ

榎本さん

中越地震でホールもダメージを受けながら、すばやく芸術活動に復帰されたのはあっぱれでした。地震の直後の町村合併、魚沼市の誕生。上下ひっくり返る激動が続きますが、お体をこわされませんよう!

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