私は家業である「能」を継ぐにあたり、すべてを己の判断で決めました。それは自分の将来を決めた中学3年生のとき。それ以来、どんなことが起きても続けることがミッションです。

コロナ禍で、今まで通りに活動ができない状況が続いています。
しかし、能に興味や接点のない人へ伝え広め、よくすることを考えてきたことに変わりはありません。自分を表現する舞台も、次へつなげる稽古も止まったとき、あらためて自分のやるべきこと、役割を考える時間になりました。

オンラインでできることの可能性、リアルタイムでないと伝わらないことの再確認もできました。能は古来より、歩みを止めることなく革新をし続けて現在に至っています。それは伝えられてきたことを、その時代に生きる表現者が、その時代を生きる観客席へ伝えるための思いと工夫からなります。

道は登れば必ず下り、平坦になり、そして山にぶつかる。そのときはまた登ればよい。

謙虚さを持ち学ぶことが自信になる。
この時期ならではの気づきです。