もちろん責任はわたしにもあるわけだが、この20年間の「わたしたち」の劣化は凄まじいものだ。効率的になれと叫ばれ、「成果」を上げろ、「成果」を上げろと求められるが、その「成果」というものも非常に短期的な成果のこと。要するに目先の成果に追われていく。構造的にケアレスミスが目立つようになり、大型プロジェクトの失敗も続いている。
今、「わたし」と「わたしたち」との分断が、本当に深刻な問題なのだと思う。「わたし」の劣化は人それぞれ、そんなに深刻とも思っていないが、「わたしたち」の劣化は目を覆うばかりだ。こんな時は一度立ち止まり、もう一度それぞれ「わたし」に立ち戻ってみるべきだろう。そして「わたし」に戻るための最良のツールは「芸術」だと思う。以前よりもっと強く、ほとんど確信とも言える感覚で、わたしは今、そう思っている。同時代の芸術を蔑ろにしてきたこの20年間のツケを、「わたしたち」はどのようにして払うのか?