東日本大震災によって甚大な被害を受けた三陸沿岸は、郷土芸能の宝庫です。震災を機にその郷土芸能に出会って、2014年三陸国際芸術祭が始まりました。芸能を外のアーティストが習うこと、芸能を様々な形で観てもらうこと、アジアと三陸の芸能交流を行うなど、様々な試みを、様々な方々・団体の協力を得て、毎年行ってきました。文化芸術で震災復興をどのように出来るのか、ずっとみんなで考え続けてきました。そして震災から10年が過ぎました。今、これまでの様々な試みと出会いは、未来に向けての準備だったような気がしています。それは、ようやくかさ上げや防潮堤などの復旧が一区切りつき、これから求められていることは、外から人々が三陸を訪れる仕組みを創ることです。文化芸術が今こそ三陸の地で求められています。芸能や芸術の本質は、人と人を繋ぐこと、新しい出会いを創ること、今までなかった未来を形作ること。
そのような思いを持って、今年の三陸国際芸術祭2022では、1000年後につなぐ新しいプロジェクト「三陸ブルーラインプロジェクト」という大きなチャレンジを開始しました。三陸の景色の中で陸と海を分断してしまった防潮堤。そこにブルーを基調にしたタイルを1枚1枚貼っていき、三陸沿岸の防潮堤を繋いでいく。そのタイルの絵を描いたり、貼ったりするのは、地元の子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、すべての世代。そして旅行者や震災の時にボランティアで三陸に訪れた世界中の人たちが、マイ・タイルを貼れるように計画しています。灰色の防潮堤の高い壁に新しいいろどりが生まれ、ひとりひとりの想いが込められる。タイルは大変丈夫で1000年もちます。誰でもが参加出来、今と未来を繋ぎ、生活の中に活き続ける。そんなプロジェクトです。
しかし、これを実現するには、許可をはじめ、いくつもの高いハードルをクリアしなければなりません。何年続くかわからないアートプロジェクトの、今年がその第一歩。現在、様々な実験を繰り返しています。そしてそのスタート地点となるオープニングセレモニーを、今月9月23日、大船渡市夢海公園の防潮堤周辺にて試験設置と共に行います。翌24日には、三陸の7地域の芸能が一挙に観れる「三陸篝火芸能彩」が同じ大船渡市で開催されます。詳しくはこちらから、https://sanfes.com/
文化芸術による復興は、これからが本番です。皆様のご支援よろしくお願いします。