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アートマネジメント


 素っ気ないいい方をすれば、アートマネジメント(arts management)とは、アートの生産や流通、消費などにかかわる人材(組織)や資金、施設、物品、またスケジュールなどを調整し、社会においてアートを成り立たせていくこと、である。

 展覧会や公演、コンサート、イベントなどにおいては、企画を考え、アーティストやスタッフ、関係者との打ち合わせ・交渉を重ね、会場や設備等も準備し、往々にして助成金や協賛金を獲得しつつ収支予算を管理し......といったプロセスを経て、観客や参加者を迎えることになる(もちろん迎えたあとにもさまざまな作業があり、とくに最近では成果を検証し共有していく「評価」に注目が集まっている)。その過程で、アートを扱うがゆえの特殊な事情や制度、またアートならではの波及効果などを反映させたものが「アートマネジメント」であり、広く一般的なマネジメントの手法や理論を援用しながら、独自の領域として認知され、展開してきた。

 そもそもは、複雑化・大型化するアートの現場において、専門知識の必要性が唱えられたこと等に端を発するが、近年では、アートの多様化とともに、アートを地域社会や一人一人の生活にいかに位置づけ働きかけていくかといった活動もさかんになってきており、アートマネジメントという言葉には、芸術や文化が社会とどのようにかかわり、アートの力をいかに社会に開放していくか、そして成熟した社会をいかに実現していくか......という問いかけと挑戦の場としての役割も期待されているといえよう。

(2011年10月1日)

関連文献

『これからのアートマネジメント “ソーシャル・シェア”への道』
中川真+編集部編
フィルムアート社
2011年
『アーツ・マネジメント概論 三訂版』
小林真理・片山泰輔 監修・編
水曜社
2009年
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