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人に賭ける

155,000,000,000円、好きに使ってくれと私に託してくれるなら。
私は人の成長に賭けます。
AI(人工知能)やロボット等の技術革新に加え、人口減少や少子化がいっそう進むなか、ますますひとりひとりの創造力が問われる時代。
高齢化した日本の経済的な成長率より、子どもや若者たちの創造的な成長力の方が高いだろうし、そっちの方がたのしみです。
私は戴いた1550億円をすべて次の世代に、未来に架けてみたいと思います。

世界流学プロジェクト…519億円

私自身の人生を振り返り、「自分が最も成長した1年」「自分の生き方に最も大きな影響を与えた1年」と問われれば、間違いなく、大学を休学し海外へ「流学」していた1年間と答えます。

20歳の頃、自分のこの命を何に賭けるべきか定まらず、50万円を持ってアジア、アフリカ、オセアニアのさまざまな地域を巡った1年間。自分の世界を拡げたい、自分の命の使い道を見定めたいという想いのなかで、インドのホスピスで死体を焼き、ナイロビのスラムで畑を耕し、ヒマラヤで植林をし、サバンナの村々にワクチンを配らせてもらうなど、多くの出逢いや体験をさせてもらった流学の1年間。さまざまな文化に触れ、文化が多様であることの素晴らしさも痛感した。その過程を通して、自分の人生に対して覚悟が決まり、私の人生は豹変した。チャラチャラとコンパやサークル、バイトぐらいしかできなかった自分が、流学後は、本を出版し、団体を立ち上げ、途上国の学校建設や教育支援といった活動ができるようになっていた。流学の1年間が、私の潜在的な戦闘力というか、人間力を大幅に高める契機になっていた。

流学日記

流学日記

そんな私だからこそ、519億円で10万人の次代の若者たちに流学の機会を提供します。
私自身が学生時代に海外への流学と留学をそれぞれ1年ずつ体験させてもらった経験から言えば、どちらのリュウガクにも価値があります。それにもかかわらず、「留学」にはさまざまな奨学金や支援システムがあるのに、「流学」には奨学金も支援システムもない。まったくもって不思議です。ないならつくろうということで、今回つくることに決めました。ギャップイヤー制度とあわせて流学奨学金を創設します。

世界中の本物の芸術作品や文化作品をひたすら観て回る1年でもよい。世界中の珍味を食べ歩く1年でも、世界中の女性を研究して周る1年でも、聖地やパワースポット巡りでも、世界の海を潜り倒すでも、世界の鳥を撮り尽くすでもいいです。地球を舞台に学びたいと思う若者たち10万人にその機会を提供します。いってらっしゃい。

流学のススメ
流学のススメ

ちなみに、世界という学校で1年間自由に学べるとしたら、皆さんならどんな流学をしたいですか?

トビコメ!Deep JAPAN事業…550億円

さて、私が暮らしている島根県は最近、神々だけでなく、子どもも集まる土地として知られるようになってきました。島根県の公立高校へ東京など県外から入学してくる子どもたちの数はこの5年で約3倍。私がかかわらせてもらってきた隠岐島前高校の「島留学」も、昨年度の1年間だけでも1200件を超える問い合わせがあります。それに加え、魅力的な教育環境を求め、関東・関西などの都市部から子どもだけでなく親子で一緒に移住する「教育移住」も増えてきています。

島留学
島留学

地方留学というと、都会でうまくいかなかった子や不登校になった子などが田舎でやり直すというイメージを持つ人が多いようですが、そうではありません。都会の学校でも成績がよかった子、さまざまな課外活動を行ってきた子、海外経験が長く英語も堪能な子などが、こういった地域や学校で学びたいと選んでやってきています。「少人数教育・Small is beautiful」「地域活動やまちづくりに興味」「課題解決型学習・プロジェクト学習」「豊かな自然・文化」「寮生活・地方暮らし」「学習や部活動に集中できる環境」「グローカルキャリア教育」「人の魅力・土地の力」など理由はさまざまです。こうした子どもや親たちを見ていると、明らかな時代の変化、新たな価値観の萌芽を感じざるをえません。

スギナの島留学日記
スギナの島留学日記

しかし、ひるがえって自分の生まれ育った家庭を思い起こせば、そんな選択肢はなかったです。家の経済的な理由で、家から通える近くの公立学校しか選べず、親に寮費を負担してもらってまで、遠くの学校に通いたいなんて到底言えなかったです。
そこで、今回550億円を使って日本初の地方留学奨学金制度もつくり、10万人の意志ある脱藩生たちに地方留学の機会を提供します。

都市部から地方留学する子どもたちには、

  • 学べる学校や地域の選択肢が増える
  • 日本の地方に息づく独自の文化や価値観に浸ることができる
  • 豊かな自然体験や人間体験ができる
  • いつでも帰れる“ふるさと”ができる

といったような効果も期待できる一方、受け容れる少子化の地域や学校においても、

  • 多様な価値観や文化をもった子どもたちと出逢う機会ができる
  • 交流を通して創造性も刺激される
  • 他地域から来た子どもたちの目を通して、ふるさとの新たな価値に気づける
  • 子どもの増加により学校や地域が活性化する

などといった効果も期待できます。
実際にしまね留学でもそういった声は多く聴こえています。

このトビコメ!Deep Japan事業で、日本の地方でどっぷり学んだ子が、その後、世界流学制度で飛び立ち、「グローカル」な視点を得て還ってくることを楽しみにしています。

しまね留学
しまね留学

失敗ファンド…481億円

最後に、今の日本の子どもや若者を取り巻く環境に、決定的に不足しているものは何かと問われれば、「失敗を歓迎する文化」だと答えたい。子どもたちに、前向きな失敗経験が不足しています。人は成功よりも失敗から深く学ぶもの。挑戦しないものは、失敗しない。失敗しないものは、成長しない。
やらせてみたらいいじゃないですか。
スキーと一緒。後で大怪我をしないように、最初にたくさん小さくこけて、転び方を学ぶのと同じ。子ども時代にたくさん失敗して、前向きな失敗の仕方を学べばいいんです。

ということで、子どもの挑戦と失敗を歓迎する、失敗基金を481億円でつくることに決めました。

一応最初は2部門ほど設置。1つは、親や先生が認めてくれないこと部門。
あのビルの谷間に秘密基地をつくりたい。夜の校舎に光る塗料で思いっきり落書きしたい。もっとエコで軽くてカワイイ制服をつくって着たい。おっきいガンダムを作ってギネスにのりたい。TPPに乗じて儲かる農業の会社を興したい。ドローンで空に桃子ちゃんへのラブレターを描きたい。どうぞ。

砂漠でライブ
砂漠でライブ

もう1つが、誰かのための失敗部門。自分で稼いでいない子どもたちが人のためにお金がかかる活動をできる機会はとても限られています。困っている人々や地域、社会のために何かしたい、そんな子どもたちの想いを応援します。
自分のまちの魅力を伝えるSF映画をつくりたい。あのホームレスの人たちにリヤカーハウスを作ってあげたい。南極に緑のカーテンを敷きつめて温暖化を防ぎたい。子どもによる子どものためのオリンピック・パラリンピックを開催したい。Do it!

今のご時世、KPI(重要業績評価指標)の設定だとか、詳細の計画の立案やらいわれますが、ここでは細かいこと、小さいこと言いません。やりたいことやってみてください。そのかわり失敗を堂々と報告してください。ちまたに成功事例集はあふれていますが、ここでは失敗事例を前向きに検証・収集・表彰・共有していきます。

対象者は5歳〜17歳、支援額は、1件あたり4万8千1百円〜48万1千円程度を目安に、毎年1万〜10万件。この制度も失敗と反省を繰り返しながら20年間は続けたいと思います。20年後には、100万の失敗事例の蓄積と、のべ100万人の失敗してきた若者たち。この基金を使って失敗した子どもたちが大人になって経済的に成功したら、またこの失敗基金にお金を入れるなんてこともあるかもしれません。が、そんなにうまくもいかないでしょう。

今回、岩本悠に1550億円を使わせようとしたのが、そもそも失敗だったと言われることを切に願っています。

(2016年2月22日)

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次回執筆者

もし1550億円の予算を手にしたら、あなたはどのような未来をつくりますか? 目次

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