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クラウドファンディング


 音楽、映画、美術などのアーティスト活動、ゲームやガジェットなどのソフトウェア開発、新興事業の起業・運用資金、災害復興支援など、企画中またはすでにスタートしているさまざまな活動に対し、インターネットを利用し、不特定多数の人から支援(資金)を集めるシステムのことを指す。

 名称は、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた造語で、Cloud Fundingと勘違いされることも。ソーシャルファンド(ファンディング)ともいう。2012年、クラウドファンディングによる資金調達額は全世界で28億ドルに達するといわれている。

 支援の仕方には、見返りが金利の形である融資、元本保証なしの配当という形である投資、ものや権利など金銭以外の形であるソーシャルビジネス[*1]、そして見返りを求めない助成・寄付(いわゆるファンドレイジング)の4タイプある。

 インターネットを利用したクラウドファンディングとしては、2001年に始まったインディーズの米音楽レーベルArtistShareが最初とされている。CD制作前にネットで先行販売し、その売上を制作費にあてた。クリエイターの資金調達の方法論としてこのジャンルは急拡大し、なかでも2009年から始まったKickstarterは目覚ましい成果をあげた。

 米国では2012年4月、クラウドファンド法ともいえる新規事業活性化法(JOBS Act:Jumpstart Our Business Startups Act)が成立され、さらにこの分野の活性化が期待される。

 日本でも、2001年3月に創設されたNGOアリーナ寄付サイト、同年11月創設のマイクロ投資プラットフォームミュージックセキュリティーズを始め、クラウドファンディング・サイトは増え続けている。起爆剤となったのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災で、多くがソーシャルビジネス[*1]や寄付を集めるものであったが、過去10年間を上回る数のサイトがオープンした。

 現在、投資系では老舗の域に入ったミュージックセキュリティーズ、ソーシャルビジネス系ではキャンプファイヤー、ファンドレイジング系ではジャストギビングジャパンなどが伸びている。

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クラウドファンディングの勉強会。 ファンドレイジングサイト「JustGiving Japan」を利用し、Oxfam に寄付を行ったケースを説明。
[註]
  1. 持続可能な事業として社会的課題を解決する取り組みを展開するもの

(2012年8月20日)

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