内覧会レポート
エスパス ルイ・ヴィトン東京
「ポップさの中でウォーホールが静かに語りかける世界に浸る」
今回うかがった内覧会はこちら!
ANDY WARHOL「SERIAL PORTRAITS-SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」
・会期:2025年10月2日(木)〜2026年2月15日(日)
・会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F)
小雨の降る中、ウォーホールのキャンベルスープ缶? マリリン・モンロー? などと頭に浮かべながら、久しぶりに表参道のルイ・ヴィトンの7階にあるギャラリーを訪れた。
いつも三面がガラス張りのスペースで、夜景や東京の景色も素晴らしくアート作品に花を添えているが、今回は全面が絶妙な色合いの壁に取り囲まれている。内部は回廊のようになっていて、それぞれの壁は展示される作品を引き立てる色になっており、カラフルでありながら落ち着いた雰囲気で多くの作品を鑑賞できるしつらえになっている。
テーマは肖像画で、フォンダシオン ルイ・ヴィトンのウォーホールの所蔵作品の中から23点が展示されている。
まず、証明書用写真機で撮ったサングラスをかけた小さな本人の肖像画から始まるが、何と言っても次のコーナーの若いころ街の中で出会った若者をボールペンで描いた素描画が印象的だ。さらっと描かれた素描から、彼の才能と繊細さが感じられてとても魅力的だ。そのあとには、様々なウィッグを被った12枚の自身のポートレート写真、シャドウと名付けられた自身の横顔と影のコントラストが鮮やかな作品、ユダヤ人10人の肖像作品などが続く。
ポップだけどなぜか悲しさも感じさせるポートレートの数々を鑑賞しながら、1960年代から80年代のNYの喧騒の中で、才能溢れるアーティスト達と交流しながらも時にはセンセーショナルな話題を集めたウォーホールだが、今回の展示からは彼の内面を見つめる冷静さ、そしてそれをポップに作品にして行く彼のスタイルが伝わってくる。
そして、なんと言っても最後のロバート・メイプルソープが撮ったウォーホールの写真に感銘を受けた。ウォーホールの何かを語りかけてくるような表情と存在感。お互いに理解し合った友人同士だったからこそ撮れた一枚だと感じた。
素直に心に入ってくるウォーホールの作品達を鑑賞するチャンスをお見逃しなく。
2025年10月1日
Julie S.S.