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内覧会レポート
「時代を超えた美術作品の多様なパワー(メッセージ)を浴びる!」

今回うかがった内覧会はこちら!

時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
Prism of the Real :Making Art in Japan
・会期:2025年9月3日(水) ~ 2025年12月8日(月)
・会場:国立新美術館

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西山美なコ《ザ・ピんくはうす》 1991/2006年(金沢21世紀美術館蔵)

平成が始まった1989年から2020年までの20年間を一つの期間として、さまざまな作品が展示されている。1989年は11月にベルリンの壁が崩壊した年であり、海外との行き来が盛んになった時期である。それらの時代背景のもと、日本人が海外で作った作品、また海外の人が日本に来て、あるいは日本に刺激を受けてつくった作品を『日本で生まれた美術表現』として展示している。

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フィオナ・タン《人々の声 東京》2007年(ベルナール・ビュフェ美術館)

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小沢剛《ベジタブル・ウェポン-リゾット・アラ・トレヴィザーナ/ベルガモ、イタリア》 2006年
(福島県立美術館および作家よりエキビション・コピーを借用)

会場内は、プロローグから始まり、イントロダクション「新たな批評性」、そして『このような視点作品をみると、発見があるかも』という企画者の想いから3つのレンズ(カテゴリー)に分けられている。それぞれには、レンズ1「過去という亡霊」、レンズ2「自己と他者」、レンズ3「コミュニティの持つ未来」とタイトルがつけられている。

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村上隆《ランドセルプロジェクト》1991年(豊田市美術館)

プロローグでは、1980年代に安藤重雄が撮影した日本で上演されたさまざまな演劇の舞台写真などが白黒で展示されている。ラフォーレミュージアムや西武美術館などで行われた「行為と創造」展やヨーゼフ・ボイス展のオープニングでのパフォーマンス、ナムジュン・パイク展などの写真など、すでにこのコーナーだけで見入ってしまう。クリストのアンブレラ・プロジェクトのドローイング、川俣正、宮島達男、次に続くコーナーには森村泰昌、村上隆、草間彌生などなど、現在も活躍中のアーティストの作品が登場する。この後にもこのように国内外で現在も活躍するアーティストの作品が次から次へと展示されている。なんとダムタイプの映像上映コーナーもあるなど(上映時間は要確認)、バラエティーに富んだ作者たちのメッセージに満ちあふれている。注目すべき作者は挙げきれず、正直なところカテゴリーにかかわらず楽しめる。

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柳幸典《ザ ワールド フラッグ アント ファーム 1991―アジア》 1991年 

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ジョーン・ジョナス《2つのヴィデオ(カラー、サウンド)、2つの木と紙によるスクリーンを含むマルチメディア・インスタレーション》2010年(作家蔵)

なんと贅沢な展覧会なのだろう。1回だけでは鑑賞しきれない、何度でも訪れたくなる展覧会だ。

2025年11月10日
Julie S.S.

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