内覧会レポート
「暗闇の中から光を見出させてくれるものは」
今回うかがった内覧会はこちら!
総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ展
・会期:2025年8月28日(木)~12月7日(日)
・会場:東京都写真美術館
ペドロ・コスタ《火の娘たち(2022)》2022年
3チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション
作家蔵
ポルトガルの世界的に著名な映画監督ペドロ・コスタの日本で最大規模、そして東京では初めてとなる個展の内覧会に行ってきた。
地下1階の展示室に入るとまずその暗さに驚かされる。入口から両側に美術館所蔵のジェイコブ・リースの19世紀から20世紀初頭ごろのNYの貧困街に暮らす人々の写真が並び、かなり広いスペースの展示室がまるで洞窟の中に入って行くような感覚になる。そこを通り抜けると、静かに音楽が流れる中、コスタの映像作品が何かを訴えるかのごとく各コーナーに映し出されている。
1974年、彼が15歳の時に独裁政権に対して革命が起こり社会体制の変化を経験した。その混乱の中で青年期を過ごしてきた。社会が民主化しても移民や貧困の課題がなくなったわけではない。彼の気持ちを救い、希望になったのが1973年に発売された、スティービー・ワンダーの「インナーヴィジョンズ」というアルバムだった。名盤と評価の高いこのアルバムが彼の心に希望を与えてくれている。
内覧会の挨拶で、彼は「映像」と「写真」、それらの間(in between)という言葉を何度もいっている。
まさにこの個展は、映像と写真、そして音楽が混然一体となって私たち見る者に問いかけてくる。
自分自身、また現実に向き合うことによって、希望が生まれるという彼のメッセージを感じた。
ペドロ・コスタ氏によるご挨拶の様子。
皆さんはどんなメッセージを受け取るのだろう?
ぜひ体感してほしいと思う。
2025年8月27日
Julie S.S.