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内覧会レポート
「のびのびと自由に羽ばたく横尾ワールド」

今回うかがった内覧会はこちら!

横尾忠則 連画の河
・会期:2025年4月26日(土)~ 6月22日(日)
・会場:世田谷美術館

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展示会場の入口に続く通路に掲げられた作品

久しぶりの世田谷美術館。砧公園の豊かな緑に囲まれた中に静かに佇んでいる。
美術館の中に入ると内覧会のセレモニー会場に入りきれず、多くの人たちがいたるところで座ったりしながらスピーカーから流れる会場の音声を聞いている。現在88歳の横尾忠則氏の人気の高さと期待の大きさを感じさせる。

館長に続き、横尾氏本人が挨拶。一週間ほど前にコロナに感染し、奥様もかかってしまい、内覧会には出席できないと思っていたそうだが、回復したので参加しているとのこと。「絵がどんどん下手になっているのです。」「でもうまく描こうとかそういう気持ちはなく、思うままに自由に自然体で描いているのですが、それがいいという気がしています。」というようなことを、いつものようにユーモアを感じさせる飄々とした語り口で話している。横尾忠則の魅力は健在だ。

横尾忠則《Self-Portrait》2025年 作家蔵

横尾忠則《自画像》2021/2024年 作家蔵

会場に入るとカラフルで大きな絵の数々に圧倒される。

横尾忠則《連画の河2》2023年 作家蔵

横尾忠則《船頭と画家》2023年 作家蔵

昔、郷里の川べりで同級生たちと撮った写真のイメージを起点に、時にシャガールやピカソなどの絵を連想させたりもする作品群。過去から現在までの彼の経験や想いが自由に解き放たれて、キャンバスの上でさなざまな形になって表現されている。

横尾忠則《メキシカンと農夫》2024年 作家蔵

横尾忠則《連画の河、タヒチに》2024年 作家蔵

少し謎めいた絵が並びいろいろ考えさせ、楽しませてくれる。彼の連画の河に浸り、なぜか懐かしく温かい気持ちで満たされる。時空を超えたすべての作品の根底には、彼の優しさと遊び心(ユーモア)が流れているからだと思う。

横尾忠則《迷路的》2024年 作家蔵

自由で奔放なパワーが溢れる豊饒な世界に浸ることができた時間を過ごし、緑に囲まれた美術館を後にした。

2025年4月25日
Julie S.S.

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