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アートマネジメントのインターン現場レポート
~世田谷パブリックシアター 2024(2)

今夏、夏休み期間中に世田谷パブリックシアターでインターンをする学生から寄せられるレポートをご紹介しています。第2回は短期の演劇ワークショップコースの3名のレポートです。

※インターンの詳細はこちらから

Dコース「高校生のためのエンゲキワークショップ」

北海道教育大学岩見沢校教育学部 芸術・スポーツビジネス専攻
上原春風さん

今回のインターンの中で最も印象的だったことは、進行役のすずきこーたさんや職員の方、サポートのスタッフの方皆さんが高校生の様子を細かく見ており、それをワークショップ終了後に毎回共有しているということです。

ワークショップ終了後、その日の振り返りの時間が設けられており、発言したいことがあるがいい出せない子がいる、自分の意見を出すことが得意そうなど、高校生の様子を踏まえて翌日以降どのように動いていくとよいのかということを話し合いました。
1日目から高校生の顔と名前を把握することで、高校生を参加者の集団として捉えるのではなく、対個人としてかかわることで、劇場は個人が尊重される安全な場所となり、より社会に開かれた場所になっていくのだと思いました。

今回のインターンを通して、公共劇場がどのように社会とつながっていくのか学ぶことができ、貴重な経験になりました。この経験をこれからの学びにも活かしていきたいです。

玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科芸術応用コース
多田夏妃さん

3日間のワークショップへのインターンを経験した中で、ワークショップは進行役がつくるのではなく、その場にいる全員でつくっていくものだという言葉が印象に残っています。

初日の高校生はとても緊張している様子でした。しかし、他者とかかわり合う中で、表現したいことが明確になってきたように見えました。高校生が主体的に活動できるようになると、大人のサポートなく創作活動が活発に行われていました。他者とかかわり合い、新たな知識を体験しながら学ぶことで、彼らの主体性に大きな影響をもたらしていると感じました。最後の発表会を終えた高校生の「楽しかった!」「まだやりたい!」と目を輝かせた表情はとても明るく誇らしかったです。

高校生が変化していく過程を目の当たりにし、その場にいる全員で自分たちにとって価値のある場づくりをする大切さを学びました。また、演劇創作の体験は高校生たちにとって大きな価値のある経験になると思いました。インターンで得た経験から、今後は積極的に子どもたちの成長につながる演劇的な活動に取り組みたいと思います。

桜美林大学芸術文化学群演劇・ダンス専修
山本一馬さん

私は今回、ワークショップの進行役に求められていることについて学びました。

1日目の振り返りの際、進行役の方から「ワークショップを通して参加者にこうなってほしいというねらいをこちら側は持ってはいるが、それを感じさせないように大人がゲームを楽しむことが必要」だと、助言をいただきました。実際に進行役、アシスタントの方々は率先してゲームを楽しんでいて、参加者が安心して演劇をすることができる場をつくられていました。またゲームを楽しむ以外にも、参加者の考えていることをかたちにできるように、参加者に行動を促すだけではなく自ら提案などをされていました。それに合わせ参加者は、徐々にアイデアを出し合うようになり、最終日には自由な創作活動ができました。

今まで私は、進行役が決めたねらいに向かっていかにワークショップを進めていくかが進行役に求められることだと思っていました。しかしそうではなく、進行役には今ここにいる参加者が、今生み出したものに対してしっかりと取り組める環境づくりが求められることを学びました。

演劇を使って参加者とともに変化していく。そのようなことを、今後の演劇活動にも活かしていきたいと思います。

世田谷パブリックシアター担当者コメント
石川惠理

高校生のための演劇ワークショップでは、全3日間のうち、2日目に嵯峨創平さんに来ていただいて環境について話を聞き、高校生たちはその話から感じたことや考えたことを演劇にしました。初日には緊張感がありましたが、インターンのみなさんは、積極的に参加者に声をかけたり、困っている参加者がいたらフォローしたり、ポジティブな姿勢で高校生たちに接してくださり、とても助かりました。

ワークショップの前後には必ず打ち合わせの時間を設けていて、インターンの皆さんにもご参加いただきました。皆さん共通して、打ち合わせで話したことを踏まえて、柔軟に対応してくれていたように思います。スタッフも場をつくる一人である一方で、スタッフとしてその場に参加しなければならないことの両立は、難しいこともあったと思います。けれど、皆さんが参加者のことをよく考えると同時に、自分自身の考えも素直に話してくれたので、ワークショップを一緒に行うにあたり、心強く感じていました。

お三方の柔軟な思考と、前向きに取り組む姿勢があったからこそ、ワークショップの環境や場づくりといった学びを得ていただいたのだと思います。また芸術分野にかかわるどこかで、出会える日を楽しみにしています。

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