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政令市の創造産業のポテンシャル比較

第6回リレーコラムを書いてくださったニッセイ基礎研究所の吉本光宏さんが、創造産業に関するリポートをまとめられました。事業所統計から政令市の創造産業のポテンシャル比較を行ったもの。貴重な研究です。

「創造産業の潮流[2]~特性が際だつ政令指定都市」
 (『ニッセイ基礎研究所Report』2009年8月号)

※創造産業の潮流[1]にあたる研究は以下。[1]では日本標準産業分類による創造産業の定義に課題があったそうですが、[2]ではその後の改訂版の産業分類によって、再定義した分析となっているそうです。

「創造的産業群の潮流--わが国の現状とさらなる振興に向けて」
 (『ニッセイ基礎研究所Report』2003年11月号)

余談ですが...創造産業(Creative Industry)といえば、ほんの10年ほど前まではもっぱら「文化産業(Cultural Industry)」と言われていました。海外の大学のアートマネジメントコースでも、教えているのは「文化産業論」。アドルノの記した「文化産業--大衆欺瞞としての啓蒙」(『啓蒙の弁証法』)などが教科書でした。

それが、

吉本さんの論文の冒頭にも書いてあるように、英国文化・メディア・スポーツ省が「創造産業」を定義し、その育成に本格的に取り組むようになった1998年頃から、「文化産業」は一気に「創造産業」に置き換えられてゆき、なんだか急にこの分野が活気をおびてゆきました。その後の、「クリエイティブ」ブームにつながっていった感じです。

英国では、文化産業も以前から同じように定義&産業分類されていたのですが、「創造」という言葉で「文化」あるいは「文化産業の特性」をうまく言い表したことが、その後の飛躍をもたらしたのではないでしょうか。英国は、自分の国の売りというか強みを的確に表現するのが本当に上手ですね。

自国の強みを見極めて、うまくネーミングし、政策化していく技術が政府には必要ってことですね。

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