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書籍の紹介:『グラスルーツ・シアター』

書籍をお送りいただいていたのですが、ご紹介がすっかり遅れてしまいました。

「地域、大学、人々の創造力----コミュニティ・アーツの原点」という帯句、「コミュニティ・アーツのパイオニア」という著者に、「お!」と思う方も多いのでは。以下、紹介資料より。

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Arts and Culture Library 5 
『グラスルーツ・シアター アメリカの地域芸術を探して』
ロバート・ガード【著】 秋葉美知子【訳】 
四六判並製/328頁  定価(本体1900円+税)  美学出版

コミュティ・アーツのパイオニア、ロバート・ガードの自伝的著作。「我々は、すべての人に創造的な人生が開かれるよう努めなければならない。学校で、コミュニティで、農場で、都市で......たぶんバーや居酒屋でも。今や芸術は町の中にやって来なければならない。それは我々がやらなければならない次の大きなアメリカの仕事なのだ」。このような信念を持ち、自分の住む地域の人々に、創造的な演劇によるコミュニティづくりの夢をもたらそうとした彼の生き様は、あとに続く人たちにとって心の支えとなり、また示唆を与えてくれるだろう。

この本は、アメリカの田舎に住み暮らす普通の人々に芸術創造の力を見出し、地産芸術を育てるために人生を捧げた一人の大学教授の奮闘記である。現在のようにアーツカウンシルやアートNPOが星の数ほど活動し、地域芸術を支援するようになる以前のアメリカで、草の根芸術思想が生まれ、実践されていたことが生き生きと語られている。〈訳者あとがきより〉

この本は戦士のハンドブックです。
この本は、自分の住む土地、ともに生きる人々から力を引き出そうとしている人々のための本です。
この本はアメリカの民主主義を信じる人々のための本です。
この本はコミュニティのために働く人々のための本です。
この本はアートに関係しているすべての人々のための本です。
〈マリオ・ガード・イーウェルさんによる「一九九九年版のイントロダクション」から抜粋〉


■目次
『グラスルーツ・シアター』日本語版 刊行に寄せて  マリオ・ガード・イーウェル
謝 辞  ロバート・ガード
一九九九年版のイントロダクション  マリオ・ガード・イーウェル
Chapter 1 地域への思い
Chapter 2 カナダのフロンティア
Chapter 3 州 境
Chapter 4 ウィスコンシン・アイデア・シアター
Chapter 5 地域の肖像
Chapter 6 建州百周年の幕間劇
Chapter 7 グラスルーツ・シアター
Chapter 8 文化とコミュニティ
Chapter 9 農村作家たち
Chapter10 触媒作用とリーダーシップ
訳者あとがき
ウィスコンシン・アイデアとウィスコンシン大学芸術関連事業年表
ロバート・ガード関連年表

■著者・訳者
ロバート・ガード(Robert Gard)
1910年生まれ。1945年よりウィスコンシン大学マディソン校教授(〜1981)。ウィスコンシン・アイデア・シアターを創設し、ディレクターを務める。演劇、ウィスコンシンの歴史、民間伝承を主要テーマに、生涯に40冊を超える書物を著す。1992年没。コミュニティ・アーツのパイオニア。

秋葉 美知子(あきば・みちこ)
1953年愛知県生まれ。一橋大学経済学部卒業。(株)パルコSP局、雑誌『FMステーション』編集部、(株)西友宣伝企画部、マーケティング情報誌『アクロス』編集長などを経て、1996~1999年、近畿大学大学院産業技術研究科博士後期課程(造形学専攻)にて「地域づくりとデザイン・芸術」をテーマに研究。同大学院満期退学。以後、アメリカのパブリック・アート、コミュニティ・アーツを中心に調査研究を続けている。2002~05年、福岡県星野村の(財)星のふるさと専務理事。現在、活水女子大学文学部現代日本文化学科特別専任教授。

■参考
・コミュニティ・アーツとは...「コミュニティの声や力になる芸術活動」
・ウィスコンシン・アイデア・シアターとは・・・大学の地域サービスの一環として、ロバート・ガードが1945年に創設した地域演劇振興プロジェクト。「ウィスコンシン州の全ての人々は、小説や詩や芝居を書く機会を与えられるべきであり、それを可能にするのが大学の責任である」という理念のもと、ガードは、「あなた自身の物語、あなたたちの文化、あなたたちのコミュニティの物語を書いて下さい」と州民に脚本執筆を呼びかけ、何千もの人々が呼びかけに応じた。

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