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栗東セッション

劇団が劇場をつくる

―地域演劇の将来像―
開催日: 2000年2月 11・12・13日
開催地域: 栗東
会場: 栗東芸術文化会館さきら
ジャンル: 演劇
参加者数: 240人
コーディネーター: 栗東町芸術文化会館さきら 中村七恵

97年3月の神戸セッションに参加した頃、さきら建設予定地はまだ更地だった。その4ヶ月後工事が始まり、99年3月竣工、10月グランドオープンを迎えた。そして、オープニング事業の真っ只中、何年も夢物語のように話していた演劇セッションの企画が始まった。過去2回の演劇フォーラムの流れを汲み「演劇」や「創造」にはこだわりたいなどと考えていた矢先、ディレクターの市村氏から「劇団」というキーワードが提案された。

滋賀県には、30ほどの劇団があり、自主公演のほか、合同公演や演劇について話す会を行うなど、積極的な活動を起こしつつある。特に、98年秋、琵琶湖畔でテント公演を行った第2回滋賀県演劇フェスティバルは、県内演劇人の交流において大きな節目となった。その中心でもあり、栗東に確かに存在する「劇団」としての『異国幻燈舎』にスポットライトをあてよう。そして、実際に彼らの舞台を観て話そう--。かくして、『まな板の上の鯉』にする、という非情な案は現実となった。

栗東セッション3日間のプログラムは、劇団異国幻燈舎公演、トークセッション(2回)、ウォークセッション(2回)の大きく3つ。トークセッションでは『まな板の上の鯉』となった宮沢氏だったが、様々な人の意見や指摘を快く受け入れ自らの公演を再確認していた。「歩きながら劇場や演劇のことを話そうよ」と名付けたウォークセッションでは、劇場見学を含め「見る」「聞く」を意識しながら全員で劇場内を巡った。プログラム構成にあたっては、体験する機会をつくりたい、また、現実に密着した講座に、という思いがあったが、真剣で柔軟な講師と積極的な参加者のおかげで楽しく意義深い時間となった。

「才能との出会い」、講師として参加いただいた津村氏の言葉である。刺激や緊張がお互いを高め、良い競争をし合って育っていくのだと。それは、アーティスト同士のことだけでなく、劇場と創造者が出会うことにもいえるだろう。そして、今回たくさんの出会いの機会を与えていただいたことを感謝している。劇団や参加者にとっての「これから」に、少しでも勇気と希望を抱かせた3日間であったならと願うばかりである。

[栗東芸術文化会館さきら 中村七恵/00年7月]

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