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高知セッション

アートはつかれる?

―回路を開く
開催日: 1999年3月 5・6・7日
開催地域: 高知
会場: 高知県立美術館ホール
ジャンル: 美術
参加者数: 235人
コーディネーター: 高知県文化財団 藤田直義

「アートはつかれる?」。このタイトル、実はプログラムが決まった後で今回の講座のパネリストのお一人から提案のあったものである。思わず笑ってしまったが、半年以上立場も仕事内容も問題意識も微妙に異なる9名の実行委員が会合を重ね、さらにTAM運営委員の森氏や熊倉氏との協議を経て開催にいたるトヨタ・アートマネジメント講座は、見方を変えれば相当疲れる作業だったのである。

冗談はさておき、熱心なアートマネージャーならこのタイトルに共感いただけると思っていた。アートマネージャーの仕事というのは、官民問わず大変なエネルギーを要するからだ。本講座は、サブタイトルに「回路を開く」とつけてあるように、価値観の違う社会とのコミュニケーションの方法を身につけ、エネルギーの省力化を図ることが目的であった。具体的には企画書のつくり方と企業へのプレゼンテーション・シミュレーションに時間を割き、その他の部分は地元パネリストの事例報告を中心に、高知県の文化政策のキーパーソンである橋本大二郎高知県知事にも登場願った。その結果、幅広いジャンル、セクターからの一般参加者は93名と定員を大きくオーバー、当初の目標のひとつであった出会いと交流の場はかなり達成した模様である。また、今年5月に高知県が四国銀行に委託したNPO支援公益信託の助成金審査方法が、書面審査ではなく公開プレゼンテーションと決まっており、本講座はタイムリーな模擬審査会となった。

ただ、私自身は本講座の1週間前に倒れてしまい、「アートはつかれる!」ことを身をもって証明してしまった。

[高知県文化財団企画課 藤田直義/99年7月]

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