分科会B

NPO法人プラス・アーツ
〈防災〉に対してアートができること

地震大国日本は地震・津波といった災害と常に背中合わせの生活が余儀なくされています。特にここ数年は東南海・南海地震の脅威が叫ばれており、メディアのあおりもあって、「災害」の非日常性から、「防災」の取り組みはその必要性が強く認識されながら後手に回ることが多く、「日頃からの万全な備え」とはなっていません。国民の普遍的な課題である「防災」に対してアートが果たせる役割とは?「防災」というテーマに対して、実際にアーティストが参画したり、アートプログラムが導入され、実績を上げている事例をいくつか紹介するとともに、新たにアーティストからアートを用いた防災訓練プログラムを事前に募集し、パネラー及び事務局が注目した作品に対して公開ヒアリングを行い、参加者全員で「防災」に対するアートの可能性を探求したいと考えています。
「ART PROGRAM IN REFUGE〜避難所をアートでかえる〜」企画募集!
提出期間:2007年1月22日(月)〜2月26日(月)※郵送の場合は、2月26日(月)消印有効

アートを用いた新しい防災訓練のプログラムを募集します。
「防災」への取り組みが各地で行われる中、地域の防災力を高めるために必要不可欠な「防災訓練」は一部の関係者しか集まらない、非常に閉鎖的なものになっています。
既成概念に捉われない創造力や発想から、現在の課題や問題点を解消し、親子で楽しみながら防災を学ぶことができるアート・ワークショップ・プログラムを募集します。
今回のテーマはずばり「REFUGE−避難所−」です。災害時に多くの人が避難し、ある期間集団生活を送ることになる地域の公民館や学校の体育館などの「避難所」。そこは時の経過とともに普段の生活では想像できないような殺伐とした状況に見舞われます。そうした状況を打破し、改善するためにアートで何ができるのか?100世帯、約300人が避難所で過ごすことになったという設定(子どもは約50人程度)で、そこにある限られたものを使って「コミュニケーション」や「ヒーリング」をテーマとしたアート・ワークショップ・プログラムを提案してください。
詳しくはホームページで、関連資料等も紹介しますので参考にしてください。 なお、優秀案については3月3日に開催される本分科会にて公開ヒアリングを実施します。
詳しくは以下のサイトにてご確認ください。
http://www.plus-arts.net/workshopcompe/
■NPO法人プラス・アーツ [ホームページ(ブログ)]
混沌とする現代社会の中で、社会におけるさまざまな分野で沈滞化し活力を失っていたり、大きな課題を抱え障壁に直面していたり、行き場を失い方向性を模索したりしている状況を目の当たりにします。社会が複雑化していくなかで、人々のニーズは多様化し、これまでの常套手段が通じなくなったり、一つの専門性では問題解決を図れなくなってきており、そうした局面を打破するためには、規制概念にとらわれない新たな発想や新しい価値観に支えられた無限の可能性を秘めた創造力が必要とされていると言えます。
こうした社会背景の中で、特定非営利活動法人プラス・アーツは、教育、まちづくり、防災、福祉、環境、国際協力といった社会の既存の分野に対して“アート”そのものを持ち込むのではなく、アートが持つ強いメッセージ力やアーティストの持つ既成概念に捉われない創造力を導入し、それらの分野がそれぞれ抱えているさまざまな課題や問題を解消し、再活性化させる“+arts(プラス・アーツ)”の考え方を積極的に導入していくことを活動目標に掲げています。

《これまでのプロジェクト》
・教育+arts:Nature Art Camp(2002〜2006)
・防災+arts:イザ!カエルキャラバン!(2005〜2007)
・まちづくり+arts:RICアートカプセル(2003〜2006)

パネリスト

藤 浩志 (ふじ ひろし)
アーティスト
1960年鹿児島生まれ。85年京都市立芸術大学大学院美術研究科卒業。83〜88年、京都情報社主宰(関西の商業施設や公共施設でアートイベントの企画制作)。86年〜88年、パプアニューギニア国立芸術大学講師(青年海外協力隊として派遣)。88年〜92年、都市計画、建築企画コンサルタント(社会開発センター、東京)に勤務。93年、藤浩志企画制作室設立、地域に関わる表現活動をリサーチ。97年、制作スタジオStudio Farm 設立。現在、藤浩志企画制作室勤務、Studio Farm lab.主宰、美術家。福岡を拠点として「地域、適正技術、協力」をテーマとした表現活動を探求。NPO法人プラス・アーツ副理事。

KOSUGE1-16 (こすげいちのじゅうろく)
アーティスト
土谷 享(つちや たかし/1977年埼玉県生まれ)、車田 智志乃(くるまだ ちしの/1977年 福島県生まれ)の2人組のアーティストユニットとして2001年から活動開始。
2005.01  小菅スケートスクール(北海道帯広市)
2005.06  西小菅小学校で個展(東京都葛飾区)
2005.08  コスゲファミリー9男9女 「いざ!カエルキャンプ!」(兵庫県神戸市)
2005.08  コスゲ商店祭 Wi-CAN (千葉県千葉市)
2005.09  アスレチッククラブ4号プロジェクト 横浜トリエンナーレ2005(神奈川県横浜市)

木須 久貴 (きす ひさたか)
アーティスト
神戸在住。1969年生まれ。「くだらない」「ささやか」「楽しい」をキーワードに人を巻き込んだプロジェクトを企画展開中。RICアートカプセル2002〜2006に参加。2004年にRe ORINPCにて、「大阪南港体操」、神戸市新開地にて「新開地体操」、2005年には防災要素を動きで表現した「神戸防災体操」を考案。

司会

永田 宏和 (ながた ひろかず)
NPO法人プラス・アーツ 理事長
1968年兵庫県西宮市生まれ。91年大阪市立大学建築学科卒業。93年大阪大学大学院修士課程終了後、株式会社竹中工務店入社。2002年2月末同社退社後、まちづくり、アートイベント、商業開発の企画・プロデュース等を業務とする事務所、iop都市文化創造研究所を設立。2006年8月にNPO法人プラス・アーツを立ち上げる。同法人理事長。大阪大学環境工学科、武庫川女子大学短期大学生活環境学科非常勤講師。

アートの力、こう考えます!

社会には「防災」をはじめ、旧態然としたやり方でマンネリ化したり、さまざまな課題・問題に直面して立ちゆかなくなったりして、沈滞化している分野が数多く見受けられる。こうした分野に強いメッセージ力や人の感動を生むパワーをもったアートを導入したり、既成概念にとらわれない自由な発想をもったアーティストを参画させることで、こうした分野の活性化に大きく貢献できると考える。つまり、「アート」が主語になるのではなく、「既存の社会の分野+アート」という「+arts」 の思考法が今後は重要になるだろう。

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