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経営・マネジメント


経営とは、事業や組織を継続的・計画的に判断・実行し、管理することを通じて、事業や組織の目的を実現することを意味する。また、「経」とは、織物の縦糸(「経糸」(たていと)とも書く)のこと、「営」とは、枠組みに則って営むことや場所を指す。こう述べると、経営とは、統率力に優れたリーダーが行った判断のもとに、着々と実践を積み重ねていくことのように感じられる。

しかし、英語で同義とされるマネジメント(management)とは、manageすることやその体制であり、manageとは、管理するという意味もあるが、調達可能な資源を効果的に活用して目的を実現すること、平たく言えば、「どうにか実現する」という意味である。

このように、「経営」と言ってしまうと、一定の規模や格式の整ったものを対象として想定してしまうが、「management」と言えば、日常生活上のすべてのことがらを対象としてとらえることができる。大小さまざまな人々の集団をお手伝いしている筆者の実感から申し上げるなら、managementや経営とは、「成り立たせ続けること」と言える。

成り立たせ続けるには、それを可能にする資源(資金や人材、資材や場所など)の継続的な調達と、その効果と価値の実現を可能にする手法や体制の継続的な確立が必要となる。つまり、自分自身のみならず、周囲の人々も巻き込んで、期待される成果や価値を実現するために、自分自身を奮い立たせ、周囲に共感してもらえる目的や目標を定め、すでに手元にある資源だけでなく、周囲や外部からも資源を借り集めて、成果や価値を効果的・効率的に実現する必要がある。

しかも、成果や価値の実現は、ある瞬間にだけ成し遂げられればよい、というものではなく、持続することを期待されることが多い。変化を続ける社会のなかで成果や価値の実現を持続し続けるためには、調達を維持するだけでなく、手法や体制そのものを進化させ続ける必要がある。

このように、managementや経営とは、手法や体制を構築することや、それを営み続けることではなく、成果や価値を実現し続けるために、つねに進化が求められ続けるものである。プロジェクトや組織のマネジャーが、事業や組織の目標を達成した瞬間に、うれしさだけでなく、せつなさや緊張感を覚えるのは、その後に求められる進化の難しさを体感しているからにほかならない。

(2016年1月19日)

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