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震災8年目、5回目の「三陸国際芸術祭」

東日本大震災から8年、ネットTAMでは「社会におけるアートの可能性」において「震災復興におけるアートの可能性」をテーマに震災後の復興に日々活動している方々のコラムをご紹介してきました。
第13回にご登場いただいたNPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(以下JCDN)代表の佐東範一さんが主体となってスタートした「三陸国際芸術祭」(以下サンフェス)は、現地に通う中で出会った三陸の郷土芸能のパワーの再認識と復興への大いなる可能性を見出したところから始まりました。2014年にスタートし今回で5回目の開催となったサンフェス。主催「JCDN」から現地の企業や自治体、そしてこれまでサンフェスを支えてきた多くの被災地内外の人々が一体となり「三陸国際芸術推進委員会」の設立。今回は大きな節目となる記念すべき開催となりました。

そこで、ネットTAMではサンフェスにスタッフが参加!各地の郷土芸能の魅力を紹介するたくさんあるのプログラムの中でも、今回は2月10日に開催された「第11回みやこ郷土芸能×三陸国際芸術祭」、「シネマ・デ・アエル×三陸国際芸術界『五十集余情』」に参加したときの様子をお届けします。
合わせてサンフェスプロデューサーの佐東さんにスペシャルメッセージをいただきました!

三陸国際芸術祭
日程:2019年2月9日(土)~3月24日(日)
開催地:八戸市、階上町(青森県)、久慈市、田野畑村、宮古市、大槌町、大船渡市、住田町、陸前高田市(岩手県)、気仙沼市(宮城県)

「第11回みやこ郷土芸能×三陸国際芸術祭」が開かれたのは宮古市民文化会館ホール。そこに集まったのは「神楽」「獅子踊り」「鹿子踊り」「念仏剣舞」と、宮古市の4つの郷土芸能団体、加えて岩手県北上市からは「鬼剣舞」の北上翔南高校鬼剣舞部、インドネシアからも「ジャティラン」の芸能団体が集結し、総勢6団体の芸能を一堂に観ることができる贅沢な機会となりました!

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古い酒蔵を会場としたシアター、シネマ・デ・アエルで行われた「シネマ・デ・アエル×三陸国際芸術界『五十集余情』」では、川内鹿踊のドキュメンタリー映画「鹿踊りだぢゃい」の上演とゲストトーク、川内鹿踊とインドネシアの舞踊が上映されました。

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監督の坂下清さんの解説つきで川内鹿踊りのドキュメンタリー映画「鹿踊りだぢゃい」を鑑賞

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上映後、監督と川内鹿踊り保存会の藤岡会長、参加者とで意見交換や質疑応答の時間が

私はこれまであまり郷土芸能に触れたことがなかったのでとても新鮮で楽しく鑑賞しましたが、川内鹿踊保存会の皆さんの「本来の目的である亡くなった方の供養のためという目的を大切にしていきたい」という言葉が印象的でした。
また、ジャティランは、演者が踊っているうちにトランス状態になり何かが乗り移ったかのような踊りに少し衝撃的でした。
川内鹿踊りは川内地区以外で踊るのは初で、ジャティランを踊ったクリンチンマニスの舞踊も日本初上演!貴重な現場に居合わせることができました。

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上演会の後には、伝統料理や地酒を楽しみながらの交流会が開かれ、大変盛況のうちに幕を閉じました。

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「三陸国際芸術祭」のプロデューサーを務められている佐東範一さんによるスペシャルメッセージ!ここまでの道のりを振り返り、ご感想をいただきました。

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2014年から始まって、5回目の開催となる三陸国際芸術祭、今年2019年2月9日に岩手県宮古市でスタートし、田野畑村、久慈市、青森県八戸市、階上市、久慈市、住田町を経て、3月3日大船渡市のプログラムで、一区切りついたところです。残すところは、連携プログラムの国際交流基金アジアセンター主催「三陸×アジア」が、同じく三陸全域において24日まで続きます。

昨年11月に八戸から大船渡まで、三陸沿岸の11市町村、岩手県広域振興局と5つの民間団体にいよって「三陸国際芸術推進委員会」が発足しました。そのことによって、これまで念願だった各地の市町村と組んで、三陸沿岸全域での開催が可能になりました。

そしてこれまでの4回はすべて夏開催だったのですが、いろいろな事情で、今年度は2-3月の冬開催となり、東北の寒い寒いところで、どうなるのだろう、アジアからの招へい団体は、大丈夫だろうかと、公演日が近づくにつれて不安が増してきました。しかし実際に行ってみると、ほとんどが屋内での開催の為、観客と地元の芸能、アジアの芸能、現代ダンスが、より密に深い関係性が生まれました。そして心配していたインドネシアからの芸能団体は、宮古で生まれて初めて雪をみらたことに感激していました。

また改めて詳しいレポートが出来たらと思いますが、3月23日に三陸鉄道が、久慈から大船渡まで、全線開通します。そして9月から10月にかけて、ラグビーのワールドカップが釜石で開催されるなど、多くの人が三陸を訪れるようになると思います。その訪れた人たちが、芸能などに触れる機会を、芸術祭として作っていく予定です。

三陸国際芸術祭プロデューサー

NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク理事長
佐東範一

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■2014年に佐東さんにご寄稿いただいた記事はこちら:

震災復興におけるアートの可能性 第13回

「からだをほぐせば、こころもほぐれてくる」から「習いに行くぜ!東北へ!!」、そして「ヒューマン・セレブレーション三陸国際芸術祭2014」開催に向けて

『何かを誰かのためにしようとすることではなくて、一緒に次の道をつくっていくことなんだよな』
という言葉が印象的なコラム。お互いを主役に、前に進むエネルギーで復興を後押しする姿勢は、震災から8年たったいま、あらためて読んでおきたい内容です。今年の三陸国際芸術祭は3月24日まで。最後までプログラムが目白押しの芸術祭に、ぜひ足をお運びください!

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