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いちばん、"お願いしたいことは、ナーニ?"

大切なのは、自分たちの志?

 まず、相手に自分たちのビジョンや考え方やアイディアを説明して、資金援助やスペースの提供や人的協力といった支援をお願いするプレゼンテーションを行う場面を想定してみましょう。何とか理解してもらおう、協力をとりつけようと意気込むあまり、自分たちの活動やプロジェクトのことばかりを言い立てていませんか。もう少し客観的にそのプレゼンテーションの中身を見直してみましょう。
 その内容を大きく4つのパートに分けてみると、さらに良く分かります。第一のパートは、自分たちの団体やプロジェクトの由来や活動の意義を、情熱を持ってご説明する。第二のパートは、より具体的にプロジェクトの中味をお金や期間や実施体制を含めて、詳細かつ客観的にご説明する。では、その次の第三のパートには、どのような内容が入ればよいのでしょうか。

自分たちより、相手のことを

 第三のパートに入るのは、相手のことを自分たちはどう考えているのか。すなわち、なぜ他の人ではなく、その相手のところにお願いに来たのかということです。その理由に説得力があればあるほど相手はうれしいし、自分が何とかしてあげなければという気持ちになるのではないでしょうか。
 そして、それに続けて説明してほしいことが、こういう支援をお願いするプレゼンテーションで最も大事なポイントです。

その願い、叶うと、どんな良いことが?

 支援や協力をお願いする方は、願いが叶えば、その活動やプロジェクトが実現するのだから、当然目的を達成すればうれしいはずです。では、相手の支援してくださる方は、その支援によってどのようなものが得られるのでしょうか。提案する「自分たちに起こる良いこと」、それ以上に「相手に起こるであろう良いこと」を、きちんと考え、納得してもらえるように説明できることこそが大事なのです。たとえば、提案の相手(受け手)が企業の支援担当の方だとして、その提案を社内の他のスタッフや上位の決定権者と検討する場面を想像してみてください。その企業のことを考え、企業がその支援によって得られる成果をきちんと説明してあれば、その団体やプロジェクトを選ぶ理由がより明確になるはずです。
 また、相手のことをきちんと気遣った提案をしてくれるような団体(プロジェクト)であれば、その後も、お互いに信頼感を持って作業を進められる気がしてくるでしょう。優れたコミュニケーションやプレゼンテーションのコツは、実は相手の気持ちや立場や状況を"想像力を働かせて理解しようとするクセ"をつけておくことなのです。

(2013年8月12日)

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アートプロジェクトの広報入門 目次

1
30秒で、"ワタシは、だーれ?"
2
ところで、"あなたは、どんな人?"
3
いちばん、"お願いしたいことは、ナーニ?"
4
どうすれば、"多くの人に、伝わるの?"
5
大事な動詞は、"askとthank!"
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