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さあ、はじめようファンドレイジング!



「ファンドレイジング」とは

 ファンドレイジングという言葉を初めてお聞きになった方もいらっしゃるでしょう。「ファンドレイジング」を直訳すれば「資金調達」。NPOが活動する上で必要となる資金を集めること...それが「ファンドレイジング」です。
 なお、この場合のNPOとは民間非営利団体のこと。社団法人、財団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人、学校法人...もちろん、美術館、博物館、地域劇場、オーケストラなどのアート系の団体やスポーツ団体なども含めた広義のNPOを意味します。

 今回の連載は、この「ファンドレイジング」がテーマです。どうしたら、活動を安定的に継続させ、さらに発展させるために必要なファンドレイジングができるかを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

NPOの資金源について

 はじめにNPOの資金源についてざっとおさらいしてみましょう。NPOの資金源の4本柱は、寄付金、会費、助成金(補助金)、事業収入です。これらの資金源にはそれぞれに特色があります。
 安定性からみた場合、同じ人たちから定期的、継続的に送られてくる会費は安定的、かつ予測可能なものだといえます。また、固定の支援者がいる場合、定期的な寄付もあてにできるものです。それに比べて、助成金・補助金は申請したからといって獲得できるとは限らず、また獲得したとしても単年度のものが多いため安定的な収入源とはいいがたいものです。事業収入については、うまくいけば安定した収入になりますが、そうでない場合もあり、中間的なものだといえます。
 「自由度」はどうでしょう。使途を限定されない会費と寄付金が最も使い勝手のよい資金です。事業からの収入も事業にかかるコストを払い終えれば、自由に使い道を決められます。他方、使途が指定された寄付や特定の事業を対象とした助成金・補助金は自由度の低い資金と位置づけられるでしょう。
 では、「調達効率」はどうでしょう。助成金・補助金はいい提案ができて申請書が通ればある程度まとまった資金が一時に獲得できるという点で調達効率の高い資金。事業収入は事業が安定化するまでは投資や工夫が求められ、そう容易なものではないかもしれません。そして、安定性と自由度で優位にあり、NPOの資金源として頼もしい寄付や会費が、実は調達効率の観点では低い位置になります。NPOの皆さんなら、新しい会員を1人増やすことがどれだけ大変なのか、寄付集めのチラシやダイレクトメールの手間やコスト、寄付者データベースの構築とデータ入力の手間など、ちょっと想像しただけで、会費や寄付は容易に獲得できるものではないと思いいたることでしょう。
 さて、もう1つの観点、「支援性」でこれらの資金源を見てみるとどうでしょう。これは、会費や寄付が一番。次にその団体を信用して提供される助成金・補助金。そして、物品やサービスに対する対価としての事業収入は、団体への支援の気持ちのいかんではなく、単にその物品やサービスへの評価で得られることもあり、「支援性」という点では低位に位置づけられます。

 こうした資金源をバランスよく調達して、かつ、相乗効果をもたらすような資金調達計画を立てることが重要です。
 また、各資金源の特徴をみると、支援を得ながら活動していくNPOならではの資金源としての会費や寄付が、実は容易には獲得できないものだとわかります。そこで、「ファンドレイジング」が重要になってくるのです。

NPOのファンドレイジングとは

 NPOの「ファンドレイジング」といった場合は、一般的に先述の団体への支援の意思が込められた寄付や会費、そして助成金といったNPOならではの資金の調達を意味します。
 実は、母国語をこよなく愛するフランスでも、NPOの資金調達は「Fundraising(ファンドレイジング)」という英語で称されます。以前、日本ファンドレイジング協会が招へいしたヨーロッパファンドレイジング協会副会長のロバート・カワルコ氏は、「Fundraising(ファンドレイジング)は世界の共通言語。この言葉を世界のNPOのファンドレイザーが使って、その知見やノウハウを共有することで、NPOセクターが発展していく」とおっしゃっていました。

 そもそも、ファンドレイジングとは何なのでしょう? NPOにとって、ファンドレイジングとは単に活動資金を集めることではありません。NPOの活動の本質は団体が単独で社会の問題解決に取り組むことではなく、その活動を通じて社会的な課題を人々に知らせ、理解してもらい、その解決への参加者を増やして社会をよりよくしていくことではないでしょうか。寄付を募る過程で、団体と人々がつながり、支援の輪が広がることで問題解決が促進するのです。

 このように、社会的意義のあるファンドレイジングですが、「欧米に比べて日本には寄付文化がないからファンドレイジングは難しい」という声を聞きます。本当でしょうか? 次回はそれについて考えてみましょう。

(2011年12月15日)

おすすめの1冊

『寄付白書〈2010〉―GIVING JAPAN2010』 日本ファンドレイジング協会編
日本経団連出版
2010年

日本ファンドレイジング協会が、日本社会の個人・法人の寄付の総額や、寄付の動機、分野別の寄付などを明らかにするとともに、ボランティア活動の実情、さらには過去1年間の寄付にまつわる主要な出来事をまとめ日本で初めて発行したもの。

参考リンク

ファンドレイジング入門 目次

1
さあ、はじめようファンドレイジング!
2
日本に寄付文化はない!?
3
日本の寄付に必要な5つのこと
4
ファンドレイジングの5つのポイント
5
アートの世界のファンドレイジング
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