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芸術文化プログラム急増の時代に身を置きながら

東京生まれ、埼玉・岡山育ち。横浜で学び、現在は東京を拠点にアートプロデューサーとして仕事をしている橋本と申します。個人や任意団体で細々とできる活動にはじまり、3年の財団勤務を挟み、同業者とともにNPO(一般社団法人ノマドプロダクション)を立ち上げるなどして約10年ほど業界で仕事をしています。

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2008年から横浜・寿町を舞台に有志で実施しているアートプロジェクト「KOTOBUKIクリエイティブアクション」(幸田千依「歩く絵のパレード」)

近年、国内各地で文化政策とアートマネジメントの現場をつなぐような仕事をさせていただく機会が非常に増えてきました。東京オリンピック・パラリンピックに合わせた文化プログラムも各地でいよいよ始動ということで、日々その波を感じながら仕事をしているところに、このリレーコラムのスーパーバイザーのお話を頂戴しました。

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東京文化発信プロジェクト室所属時代に担当していた東京・墨田区を舞台としたアートプロジェクト「墨東まち見世」(谷山恭子「lat/long-project」)

これを受けて設定させていただいたシリーズタイトルは「これからの生活と表現」。押し寄せる波に流されそうになるところをぐっとこらえて、自分たちの足元を確認しながら、進むべき方向を考えることのできるシリーズにしていきたいと思います。

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プログラムコーディネーターを務めさせていただいた横浜市の文化キャンペーン「OPEN YOKOHAMA2012」(横浜市庁舎特別展示 曽谷朝絵「みずのわ」)

私やノマドプロダクションのまわりには、フリーランスや短期雇用等でアートマネジメントの現場にかかわる方が多くいるのですが、目の前の仕事に忙しく向き合う一方で、自分たちの将来に不安を抱えている方が沢山います。

2020年でおそらくピークとなるであろう、行政主導型の芸術文化プログラムの波の後に控えているのは、いわゆる「縮小する社会」。私が業界にかかわってきた激動の10年と同じくらいに、これからの10年は変化の激しい時代になるでしょう。

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アーツカウンシル東京と共催で進めている、アートプロジェクトの人材育成プログラム「Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校」(2016年度基礎プログラム)

芸術文化プログラムやそれにかかわる施設、メディアのあり方、人々のワークスタイルなどが、次々に変わっていくであろうこれからの時代をどのように予見しながら今を生き、活動していけばいいのか。

アートマネジメントに携わる私たちにぜひヒントをいただきたいと考えた同世代の編集者、キュレーター、マネージャーの方々などにリレーコラムの執筆をお願いしていきます。

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実家のある岡山県と、香川県で開催されている「瀬戸内国際芸術祭」の一環としても実施されている「小豆島 醤の郷+坂手港プロジェクト」を訪れたときの様子(ままごと「港の劇場2014」)
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2015年度より、ノマドプロダクションが実施しているアートプロジェクト「生活と表現」(拠点のひとつ「ご近所ギャラリー 吾郎」)

今後の予定

関連リンク

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昨年、大分県竹田市を訪れた際に購入した、竹田アートカルチャーによる地元企業と開発した東袋。 城下町で持ち歩く佇まいを想像たデザイン、というのが素敵だなと思い手を伸ばしたのですが、使い勝手もよく全国の旅の供になっています。

次回執筆者

バトンタッチメッセージ

最初のバトンは、大阪を拠点にアート・デザインから地域プロジェクトまで、企画や編集などをさまざまなパートナーとともに手がけている、関西版ノマドプロダクション(と勝手に呼ばせていただいている)、MUESUMの多田智美さんにお渡しします。

自分たちが手がけてきた領域にこだわらず、常に編集の可能性を広げながら、挑戦する姿勢を見せる多田さんの最新の仕事と思考が、いつも気になっています。

これからの生活と表現 目次

1
芸術文化プログラム急増の時代に身を置きながら
2
ずっと働いているようで、ずっと遊んでいるような生き方
3
同時に複数の場所と時間を生きる
4
生活を微視的に見つめる視線、の先に広がる都市空間
5
芸術と社会をつなぐ~2020年の先にある文化行政の現場とは?
6
生きた生活から表現は生まれる─アートマネジメントと向き合うポリシー
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