三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター主席研究員/センター長の太下義之さんが、機関誌「季刊 政策・経営研究」(2009 Vol.3)で、以下の論文を発表されています。
創造産業の概念が丁寧に整理され、英国クリエイティブ産業政策から日本への示唆についてもまとめられています。
▼英国の「クリエイティブ産業」政策に関する研究~政策におけるクリエイティビティとデザイン~ (三菱UFJリサーチ&コンサルティング『季刊 政策・経営研究』[2009 Vol.3])
鳴子温泉"生きる博覧会"のことを報告した8/11ブログに、写真を撮ってこなかったと書いたのですが、ありがたいことに、博覧会プロデューサーの吉川由美さんが送ってくださいました!
追加でアップしました。
文章ではプログラムの雰囲気まで伝えきれなかったので、ぜひ写真をご覧ください。
▼8/11「鳴子温泉"生きる"博覧会」に行きました
今月のリレーコラム「アートの環境」を書いてくださった、金澤アートイベントカレンダーイコール発行人兼編集人の中西研大郎さんが、「イコール(Equal)」のバックナンバーを送ってくださいました!
各号の特集、インタビュー、すーっと読めて、でも、とっておきたいおもしろさ。きっと、「イコールはあくまで出会いを創出するメディアでありたいと思っているので、アートに興味が無い人に向けて発行しています。それと同時に百年先の人にも発行しています」(リレーコラムより)、との編集方針だからでしょうか。中西さんの、毎号の編集後記も読みごたえあります。
「イコール」の配布場所はこちら。金沢だけでなく、富山、福井、水戸、横浜、京都、大阪、福岡でも入手可能です。
さて、今回実物をお送りいただいたのには理由がありまして。
中西さんにコラムをバトンタッチいただいた「芸力」竹本清香さんの55回コラムの“バトンタッチメッセージ”(以下)の中にあった「水をぶっかける」は、イコール10号の編集後記から来ていることを、教えてくださったのでした。
金澤のアート情報のスペシャリストで、フリーペーパー「イコール」を発行している中西研大郎さんにバトンタッチです! お互いメディア媒体は違えど、考えていることはものすごく近いなぁといつも感じています。 自分たちの環境は自分たちの責任でもって変えていかなければいけない。 何もしないで文句を言うのではなく、とにかく小さくても何かやってみる。 一杯の水をぶっかけてみる。そこから何かが変わるかもしれない。 そんな中西さんの行動力にいつも圧倒されて元気をもらっています。 どうぞ、コラムで思う存分、水をぶっかけてくださいね!
その編集後記は、イコールのWEBにも掲載されています(vol.10 2009.6-7)。なるほど!
第6回リレーコラムを書いてくださったニッセイ基礎研究所の吉本光宏さんが、創造産業に関するリポートをまとめられました。事業所統計から政令市の創造産業のポテンシャル比較を行ったもの。貴重な研究です。
▼「創造産業の潮流[2]~特性が際だつ政令指定都市」
(『ニッセイ基礎研究所Report』2009年8月号)
※創造産業の潮流[1]にあたる研究は以下。[1]では日本標準産業分類による創造産業の定義に課題があったそうですが、[2]ではその後の改訂版の産業分類によって、再定義した分析となっているそうです。
▼「創造的産業群の潮流--わが国の現状とさらなる振興に向けて」
(『ニッセイ基礎研究所Report』2003年11月号)
余談ですが...創造産業(Creative Industry)といえば、ほんの10年ほど前まではもっぱら「文化産業(Cultural Industry)」と言われていました。海外の大学のアートマネジメントコースでも、教えているのは「文化産業論」。アドルノの記した「文化産業--大衆欺瞞としての啓蒙」(『啓蒙の弁証法』)などが教科書でした。
それが、
吉本さんの論文の冒頭にも書いてあるように、英国文化・メディア・スポーツ省が「創造産業」を定義し、その育成に本格的に取り組むようになった1998年頃から、「文化産業」は一気に「創造産業」に置き換えられてゆき、なんだか急にこの分野が活気をおびてゆきました。その後の、「クリエイティブ」ブームにつながっていった感じです。
英国では、文化産業も以前から同じように定義&産業分類されていたのですが、「創造」という言葉で「文化」あるいは「文化産業の特性」をうまく言い表したことが、その後の飛躍をもたらしたのではないでしょうか。英国は、自分の国の売りというか強みを的確に表現するのが本当に上手ですね。
自国の強みを見極めて、うまくネーミングし、政策化していく技術が政府には必要ってことですね。
NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)が毎年開催している、全国ダンス巡回プロジェクト「踊りに行くぜ!!」の本年度開催概要が、オフィシャルサイトで発表された。なんと今年で10年目!
公式サイトによると、「踊りにいくぜ!!」の企画目的は以下の通り。
・全国の振付家/ダンサー/パフォーマーが、違う都市において公演を重ね様々な反応を得ることによって、作品及びアーティストが育っていくこと
・全国のアーティスト間、スペース間、アーティストとスペース間の新たなコミュニケーションが生まれること
・各地域の孤立をなくすこと
・各地域の観客に未知のアーティストや作品を紹介することにより、ダンスへの理解が深まり、観客自体が育っていくこと
・アーティストにとって地元以外での単独の公演やカンパニー公演が日本各地で行われるようになること
・既成のダンスにとらわれることなく、オリジナリティのある動きや新たなダンスの価値を創り出すこと
たとえば、開催地の地域資源の発掘&「見える化」。
踊りに行くぜは、専門ホール以外の驚くような場所で開催されることがある。ながーい商店街、地元の人にかつて愛された閉店後久しい店舗、連絡船、魚市場など。よくここで開催できたもんだと、毎度脱帽。地元の人にとっても、普段は別の用途でフツウに存在している(いた)場所が、パフォーマンスの会場になるなんて、思いもよらなかっただろう。各地の地元の資源を、確実に見える化してきたと思う。
地元以外の人も、何やらおもしろそう!行ってみようかな、と遠くまで観に出かけるわけで、観光誘発効果もあったかもしれない。かくいう私も、去年は青森県八戸市鮫町の鮫第一魚市場(さめだいいちぎょしじょう)まで観にいってしまった。
そう、私にとっては踊りに行くぜは、「観にいくぜ!!」なのだ。
日本屈指の水揚げ量を誇る現役魚市場が会場。とにかく長い。
↑屋根のギザギザが印象的。 ↓対岸の倉庫も演出で使用。
もうひとつ、「よし、ひとつここはやろう」という、開催地にとっての「きっかけづくり」になっているようにも思う。
鮫町では、地元の方々がなんと回り舞台ならぬ「回り観客席」を作った。ながーい会場をダンサーが縦長にも使えるよう、なんと観客席を90度回転するというアイディア。当日は、お客さんを乗せたまま、見事人力でくるりと回った。地元の実行委員の方々にとっては、「やってやるぜ!!」なのかと思う。
回る客席
同時開催されていたお祭り関係者のおじちゃんが、祭りで踊っていた方々に「踊りに行くぜ」のチラシを渡してPRしていたのも、とってもよかった。
(八戸鮫公演のYou Tubeはこちら)
どちらかというと、ダンサーとその関係者の視点で始まった「踊りに行くぜ!!」は、いまや「観に行くぜ!!」、「やってやるぜ!!」でもあるのではないかと思っている。
先週末、宮城県大崎市の鳴子温泉で開催されていた「アートが私にチカラをくれる【鳴子温泉"生きる"博覧会】」に参加した。
「トヨタ・子どもとアーティストの出会い2009in仙台・宮城」も同時開催されており、その担当でもあるトヨタU野に誘われて。ちらり説明を読んだ「朗読遠足」というプログラムはなんだか魅力的だったし、前から気になっていた「農とアート」がテーマのプログラムもあるらしいし、何より温泉は魅力的!即、鳴子行きの誘いにのった。
公式サイト
生きる。生活する。生き抜く。生き続ける。生命。再生。チカラ。誕生。アートを通して 生きることのさまざまをこの土地で見つめよう。ゆたかに生きるって どんなことなのか、ここで考えよう。九つの泉質のお湯が、そこかしこから噴き出す鳴子温泉郷。きびしくやさしい自然と、弱くて強い人間たち。 だから、ここで"生きる"博覧会。 (「鳴子温泉"生きる"博覧会」パンフレットより)
9日の「朗読温泉:鳴子に生きる女たち」は、鳴子の5つの温泉地で生きる5人の女性の物語を聞く、朗読プログラム。鳴子5湯にある、復活した廃校や、温泉の山荘、公共温泉が会場だ。朗読家・渡辺祥子さんの語りに、作曲家・大場陽子さんの音楽。5人の女性にインタビューを重ねて物語(朗読台本)を綴ったのは、博覧会プロデューサーの吉川由美さん。
早稲田湯で
東鳴子・旅館大沼山荘で
10日午後は、「鳴子の米プロジェクトmeetsアート 農家と語る"よく生きる"」。鳴子の鬼首(おにこうべ)地区が4年前から取り組んできた鳴子の米プロジェクト(耕作放棄地が激増する中で、山間地で米作りを続けていくための仕組みづくり)を題材に、「よく生きる」とは何か、コミュニティーとは何か、これからの日本、アートが地域にもたらすことなどを、農家の方含む地元の方々やアート関係者、農作業実習に来ていた中央大経済学部の学生さんたちなど、みんなで考えるひと時となった。
こうした問題を、一人ひとりがどのように受けとめていくか、どういうことが「よりよく生きる」ことなのかを、降りしきる大雨の音を聞きながら、考えることとなった。生きるか死ぬかの問題を前に、アートはどのようにいられるのか、アートの本気も試されるという、司会の吉川さんの問いかけもドシっときた。そんな話の後に食べた、会場で配られた鳴子のお米のおにぎりは、忘れられない味となった。
もちろん、温泉も堪能しました!
鳴子の皆さん、博覧会関係者の皆さん、事務局スタッフ&ボランティアの皆さん、すばらしい企画、お疲れ様でした!

今回は中身に集中してしまい、写真を取らずじまい...。唯一「トヨタ・子どもとアーティストの出会い」ワークショップの完成作品「目浴」のみパチリ。ガラス作家の村上耕二さん、お世話になりました。 ※8/21註:いただいた写真を追加掲載しました。
【おまけ】
こんなお土産をいただきました。「こけしマッチ」。鳴子はこけしのまち。いいなあ。一部U野のひよこマッチと交換。楽しい。

夏休みまっただ中の方へ。
のんびり休みの読書におススメの1冊をご紹介します(おもしろくて一気に読めてしまいますが)。
去る7月23日に刊行された、高萩宏さんの著書『僕と演劇と夢の遊眠社』(日本経済新聞社)です。スタジオジブリの『熱風』に連載されていたときから楽しみに読んでいた方もいるかと思いますが、このたびその連載が大幅加筆改稿されて出版されました。

先日出版を祝う会が開かれたのですが、以下、その時のご案内より。
高萩さんは現在、東京芸術劇場の副館長を務めておられますが、演劇人としての仕事の始まりは学生時代に劇団「夢の遊眠社」を野田秀樹さんらと立ち上げられたところにさかのぼります。
「夢の遊眠社」の活動と発展は八十年代の伝説となりました。九十年代はじめの衝撃的な解散に至るまでのその急速な拡大の歴史を 制作者としての視点から高萩さんが綴られたのが本書です。
その後高萩さんは、国際フェスティバルの運営、米国留学を経て、東京グローブ座、世田谷パブリックシアターを拠点に国内外にわたって幅広く活躍なさり、現職に至るわけですが、高萩さんが、その活動の原点ともいえる「夢の遊眠社」を語る本書は多くの演劇関係者にとって示唆に富み、励ましに満ちたものであると思います。
遊眠社のことだけでなく、商業演劇と非商業演劇のこと、演劇界と公的助成、日本の現代演劇と海外ツアー、企業スポンサー、芸能界との距離感、鑑賞者開拓、IT化以前の制作の仕事の様子など、演劇の制作・マネジメントについていろいろ考えさせられる内容が満載。
「ああ、こういう流れで来て、今こういうことになっているんだなあ」と、今あることの"背景"を知ることができました。
演劇とは少し離れたところにいる方にこそ、読んでほしいなあと思いました。舞台をつくる、役者さん以外の人たちの存在が見えてくるはず。
...それにしても、高萩さんの詳細な記録には驚きました。細かい数字をきっちり残しておられることに、たぶん多くの方がびっくりされるのでは。
本ブログでは、文化庁文化審議会文化政策部会(第5-6期)の「アートマネジメント人材等の育成及び活用について」の審議について何度か報告してきました(07/10/19、08/1/19、08/2/20、08/3/12、09/4/9、09/4/10)が、このたび、文化庁より一連の審議のまとめが発表されました。
アートマネジメントについて、国の最新の見解がまとめられているものということになりますが、皆さまの感想をぜひうかがいたいです。
まだ細部まで丁寧に見ていませんが、感じたことをいくつか...
・国が「アートマネジメント」について、時間をかけて審議していることは、この分野に携わるものとしてありがたい。
・それが政策評価の対象となり、今年具体的に事業化された(予算がついた)ことはすばらしい!
その上で、ちょっと物足りなさを感じる部分は...
・政策が手薄だった分野ということで「実演芸術」に特化して検討が重ねられてきたが、アートマネジメントを議論するならやはり全ジャンル扱う必要はなかったのか?(たとえば、TAM的「アートマネジメント」では美術分野もとても活発。この方々の意見はどこにぶつけたらよいのだろう...)
・たしか文化庁は10年ほど前にも、同様に「アートマネジメント」をテーマにいろいろとおこなっていた。その時の議論は今回にどのように生かされたのか否か。その時と今回とでは何が異なるか(日本のアートマネジメント環境の変化を受けての議論なのだろうか?)
・雇用の問題、アートマネジメントを生業としていかに成立させるかの議論がすっぽり抜けていないか?
・議論の根拠としているアンケート調査のサンプル数が少ないのでは?(%表記で目立たないが、実数にすると国の現状を反映している数字とは言いにくい)。大小さまざまなNPO、公益法人、芸術団体等、あらゆるバックグラウンドの関係者の現状を把握してほしい。
特に、「アートマネジメントをいかに生業として成立させるか」は、現場の当事者たちにとって最大かつ待ったなしの課題だ。大学教育のことももちろん大事。でも、いち早く国として課題を可視化してほしいのは、就労環境の方でなないだろうか。ここをクリアしない限り、アートマネジメントの課題は少しも解決しないように思う・・・。
一昨年文化政策部会でアートマネジメントについて発表する機会をいただいたので、思い切って「R25問題」「R35問題」という切り口から(急な坂スタジオ「マンスリーアートカフェ」vol.4が取り上げた話を発展)、アートマネジメント分野の就労環境について、文化庁や委員の方々に話してみた。
この分野では、25歳と35歳あたりに分岐点のようなものがある気がする。アートが好きでやる気にあふれ、安い給金でも張り切ってプロジェクトを動かしてきた人材が、過酷な労働環境に突如バーンアウトしてしまう...25歳ぐらい。
R25問題を乗り越え責任あるポジションにもつき仕事に充実感を覚えて日々やってきたが、人生の節目--結婚や出産、子どもの教育を考えた時に、あるいは親の介護等に直面して、どうしてもこのままの条件ではやっていけないと離職する...35歳ぐらい。雇用する側も、「暮らしていけないのでは」と、家族もちの30過ぎの男性を雇用することを躊躇してしまうことも、実際ある。この業界に女性が多いことと無関係ではないだろう。
せっかく育てた人材が、いなくなってしまう。この分野でこれまで人材育成に投資した諸経費の総量を考えると、ものすごい無駄使いになっていることになる。
こんな現場の事情を、困っている当事者の一人として言わなきゃ!と、意を決して説明してみたが・・・・・うーん、私の説明下手もあり、「R25って何ですか?」とそこに突っ込みが入ってしまい、うまく伝わらなかった。。。。残念。。。(同じく発表者だった鳥取県文化振興財団の柴田さんのみが反応してくださった)。
後日ある方が教えてくださったのだが、雇用問題は文科省の所轄ではないので文化政策部会では話し合えないらしいことが判明。縦割りなんだなあ。
本日13:30~16時近くまでネットTAMの定例会議。
ネットTAMでは毎月1回トヨタ、SETENV、企業メセナ協議会の3者が集い、アクセスログ解析やユーザーから寄せられる声の確認、今後の更新内容の打ち合わせなどを行います。
今日のメイン議題は、サイトのリニューアルデザインについて。
デザイン検討、大詰めをむかえています。
あと数か月のうちに、皆さまに新しいネットTAMをご披露できるかと思います。
ついに8月1日!夏本番です。
本日より、金澤アートイベントカレンダーイコール発行人兼編集人、中西研大郎さんによる第56回リレーコラム「アートの環境」を公開しています。
なんとも心に響くコラム。ネットTAMで紹介させていただけることを光栄に思います。
特殊緑化(特に壁面緑化)の技術者でもある中西さん(金沢21世紀美術館の、あのパトリック・ブランの作品「緑の橋」の製作・管理も担当)。その視点と時間感覚に、ハッとさせられること多々。読後にタイトルを読むと、また何かこころが動かされます。
コラムの詳細をここで説明するなんてことは無粋かなと。
ぜひご一読ください!
▼第56回リレーコラム「アートの環境」
金澤アートイベントカレンダーイコール発行人兼編集人 中西研大郎
★コラムに寄せていただいた写真より
G-WING'Sギャラリーエントランス

キキョウを使った室内インスタレーション
