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盛岡セッション

市民参加から市民協働へ

アートの地産地消運動を
開催日: 2002年3月 23・24日
開催地域: 盛岡
会場: プラザおでって
ジャンル: チャレンジ編
参加者数: 118人
コーディネーター: 盛岡市観光文化交流センター  坂田裕一

前回(1998年1月)の盛岡セッションのテーマは「地域文化と演劇」、市民参加型の演劇運動で地域に演劇を根付かせるための方策について議論し、その際の課題として、地域で生み出される作品の質や地域と演劇の関係性が提起された。

今回は、その提起された課題を継承し、「市民参加という底辺拡充型の文化ホール側の仕掛け」から「市民と行政・地域が共通・対等の立場で協働する市民協働型演劇振興」による「アートの地産地消」の実践について討議するとともに、作品を高める方策として「ドラマリーディング」の活用を実践した。

ドラマリーディングは、公募作品と地元作家による既上演作品併せて3本の作品を上演。

アートの地産地消の実践については、「地域通貨」の可能性と、「中心市街地にアートの空間を」という二つの提起を行った。地域通貨についてはアートの現場でのキチンとした実践例がないことから、地域通貨そのものの基本的考え方の議論で終わったが、試行・実践へのアプローチとして大切な一歩を記した。「中心市街地にアートの空間を」というメッセージは、近年の郊外型大型ショッピングセンターの立地により、衰退を余儀なくされている地方中核都市の市街地の活性化をアートの現場との協働で、という趣旨で提起したものであった。しかし、盛岡市の現実が、既にアートとの協働を歴史的にも実践し、地方都市の中では比較的中心市街地が元気であることから、現実性を帯びた論議としては成立し難かった。

「ドラマリーディング」「地域通貨」「中心市街地にアートの空間を」の3つの提起は市民参加型の演劇振興から一歩すすめる上で、大切なアプローチであり、今回はその入口を紹介した形だった。今後、如何にこれらの実践につなげていくかが課題となろう。

[盛岡市観光文化交流センター副館長 坂田裕一/02年9月]

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