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岡山セッション

劇場

―演劇が生まれる場をつくる
開催日: 1999年9月10・11・12日
開催地域: 岡山
会場: デビットホール、千日前貸しホール
ジャンル: 演劇
参加者数: 177人
コーディネーター: おかやまアートファーム 大森誠一

岡山セッションのテーマは二転三転した。"レジデント・シアターの可能性"→"まちづくりと公立ホール"→"地域演劇の台頭"といった標題が浮かんでは消え、やがてシビレを切らした監修の市村作知雄氏から「どうするの?」の催促。土俵際で生まれたのが『劇場--演劇が生まれる場をつくる』だった。市村氏の「プロジェクトとしての劇場」というヒントをもとに、「劇場をつくろう、演劇をはじめよう」というビジョンを標題にしたものだ。

開催までに時間は要したが、それまでのプロセスが文字通りアートマネジメントの実践そのものであった。公立ホールの事業担当者や企業のメセナ担当者へのプレゼン、商店街組合や経済団体・市民団体へのアプローチ、アーティストへの出演交渉や芸術文化団体への呼びかけ...など。費やした時間は無駄ではなかった。セッションが成立する磁場の中にアートと社会の確かな出会いがあった。

劇場には公営も民営もあるが、岡山セッションでは民営に力点をおいた。とりわけ、小劇場演劇やオルタナティブな空間を題材に内容と人選を決め、会場もそれにふさわしい地元企業が運営するデビットホールと旧ピンク映画館の貸ホールを充てた。企画段階では、商店街の空き店舗も候補になったが、とにかく会場は、テーマを具現化したようなシンボリックな場所を選んだ。

セッションでは、多彩な顔ぶれのパネリストに出席いただき、全国から大勢の参加者があった。民営の小劇場がどのような専門家に支えられ、どのように優れた才能と作品を輩出してきたか。公営の劇場よりも鋭角的に時代と格闘してきた民営劇場は、常に退っ引きならない公共性を体現してきた事実が、さまざまな角度から語られた。

そして、講座の後には膨大な録音テープと色褪せることのない問いが残った。新しい劇場は造られるの? 新しい演劇は生まれるの?----YES!

[おかやまアートファーム代表 大森誠一/00年7月]

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